ジャガー・ランドローバー(JLR): 4月に即時休止
英自動車大手ジャガー・ランドローバー(JLR)は、2025年4月から米国への車両出荷を一時停止すると発表した。この決定は、トランプ政権が輸入車に新たに課した25%の関税に直接対応するもので、4月2日に発効し、4月5日には世界的な商品に対してより広範な10%の基本関税が課された。JLRは、この動きを「短期的な行動」であると説明し、その間にパートナーとの貿易条件の見直しを交渉し、財務的な影響を軽減するための長期的な戦略を策定するとしている。
ジャガー・ランドローバー(JLR)の米国市場における重要性
米国は、ジャガー、ランドローバー、レンジローバーを含むJLRの高級ブランドにとって重要な市場である。同社は2024年第3四半期だけで約3万8,000台を米国に輸出しており、英国と欧州の合計出荷台数にほぼ匹敵する。2024年9月までの1年間で、英国車の対米輸出額は83億ポンド(約107億ドル)に達し、自動車は英国の対米物品輸出のトップとなっている。
業界全体のひずみ
関税は、すでに国内需要の減少や電気自動車生産へのコストのかかる移行を進めている英国の自動車メーカーにとって、既存の課題をさらに悪化させるものだ。英国の自動車生産台数は、2024年には前年比13.9%減の77万9584台となり、77%以上が輸出市場向けとなる。 自動車製造業者・貿易業者協会(SMMT)のマイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)は、関税が「最悪のタイミング」で到来したと警告し、雇用と経済成長を守るために貿易交渉を加速させるよう促した。
事前備蓄への取り組み
政策転換を見越して、英国の自動車メーカーは2024年初頭に米国在庫の積み増しを急いだ。SMMTのデータによると、対米輸出は前年同期比で2023年12月に38.5%、2024年1月に12.4%、2024年2月に34.6%急増した。しかし、関税は利益率を低下させ、サプライ・チェーンを混乱させる恐れがあるため、こうした備蓄は一時的な救済にしかならないかもしれない。
広範な経済的影響
関税は世界市場の不安定化を引き起こし、FTSE100種株価指数は4月4日のパンデミック発生以来、1日で最も急落した。JLRの親会社であるタタ・モーターズは、トランプ大統領の最初の関税発表後、高級車需要に対する投資家の懸念を反映して、3月27日に株価が5%下落した。
戦略上の不確実性
JLRは、出荷再開の時期や長期的な計画については明らかにしていない。評価されている選択肢には、現地での生産調整や価格改定が含まれる可能性があるが、正式な発表は行われていない。同社は、市場の変化に適応するための回復力を強調し、グローバルな顧客に車両を提供することに引き続き注力していると述べた。
最新動向(4月5日現在)
日本時間4月5日午後1時44分現在、ジャガー・ランドローバーは出荷一時停止の状態が続いていることを確認した。トランプ大統領が「解放の日」と呼んだ、すべての輸入品に対するより広範な10%の基本関税は、東部時間4月5日午前0時に発効し、大西洋貿易力学への圧力を強めている。公共政策研究所(Institute for Public Policy Research)によると、業界アナリストは、関税が長期化すれば英国の自動車関連雇用2万5,000人以上が危険にさらされると警告している。
ジャガー・ランドローバー(JLR)の進むべき道
JLRの休止は、世界貿易関係の脆弱な状態と、地政学的な変化に対する自動車部門の脆弱性を浮き彫りにしている。英国政府とSMMTは早急な交渉を提唱しており、関係者は、二国間協定によって関税の影響を和らげることができるのか、それともメーカーがサプライチェーンを根本的に再構築する必要があるのか、その明確化を待っている。
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